墨について


● 墨   墨は油の不完全燃焼によるススを膠(にかわ)で固めたものです。
      原料の油脂の種類によって墨の色が変わります。中国の物を「唐墨」
      日本の物を「和墨」と呼び、製造より年月が経ち古い墨を「古墨」と呼び
      独特の発色や滲みのため珍重します。


● 煤による違い

  ◆油煙墨  菜種油・ごま油・大豆油・ワタミ油などのすすで作られ、

                 黒さを強く感じる墨

    松煙墨    生き松・落松・根松などのススで作られる。青みを帯びた青墨となる。

  ◆化学煙  重油・燈油など工業油のススで、安価な墨や墨液とされる。
        単純な黒色となる。

 

膠(にかわ) 
             唐墨と和墨の違いに膠が上げられる。日本の膠は牛の中皮より
      精製されるが、中国のものは牛意外とされ固い墨となる。墨質の硬さは
      磨墨による墨の粒子の大きさに関係し、発色や滲みに残る芯に関係します。
      「古墨」とされる物はこの膠の経年による変質により、膠の粘りが弱まる
      所が大きく、黒色の墨が独特の複雑な発色をする。

墨色

         スス自体は炭素原子の集まりで、経年してもそれ自体変化をしない安定物質です。
      墨色の変化は膠の変質が主と成る事から、墨を多湿な所に置きカビを生やしたり、
      新たに墨汁へ膠物質を混ぜたりで発色を変える事ができる。


                資料ページに戻る    表紙に戻る